発火、シロップ
また赤い1週間。
お気に入りの下着にべたりと居座る鮮血、トイレットペーパーに付着して水に浮かぶそれ。
女性はみんな戦ってるだなんていうけれど、毎月やってくるこれは戦いなんかじゃない。わたしの中身が居場所をなくして、なくなったそれを求めて出てくるだけ。居場所なんかないのにね。
思うにこの赤はもともと赤くなんてないのだ。ただこうして出てきて気づいてほしくて発火して、その瞬間、赤く赤くなるのだ。パッと発火して、甘く香って、くるくる丸めて捨てられるだけ。そのためだけに、それはからだいっぱいの熱を使って発火する。
一瞬だけでいいのだ、だってその一瞬でわたしたちは赤に捕われる。その甘いシロップは、発火してから1週間、ずっとわたしを居場所とするのだ。まったく迷惑なこった。わたしですらいっぱいいっぱいなのに、わたしの中に居場所のない、わたしの中身なんかに居場所があるもんか。
くるくる、ぽい。くるくる、ぽい。
せめて薄荷のシロップなら、空でも何でも飛べるはずなのになあ。